<追記>今後、『ef - a fairy tale of the two.』という作品については、別ブログ嗜好錯誤にて書いていきます。よろしければ、こちらもご覧下さい。
◆この記事の目的 いよいよ発売の差し迫った『ef - the latter tale.』ですが、前作、『ef - the first tale.』の発売から、一年半の月日が経過しています。 となると、私自身そうだったのですが、プレイ済みにもかかわらず内容がおぼろげであったり、おいしそうな伏線があったような気がするけど忘れてしまった、慌てて始めたものの「こりゃ間に合わない」と諦めてネットをつないでしまった(←一週間前の私)(その時にこういった記事を探してみて、無かったので自分で書いたわけですが)、という方も多いと思います。 そういった方にとって、この記事が「あぁ、そういえばこんなところがあったな」と思い返す一助になれば幸いです。 また、efという作品は様々なメディア展開を見せている作品ですから、例の新海誠氏監督のムービーを見て、秋葉原の巨大広告に度肝を抜かれて、アニメ版を視聴して、ラジオを聴いて、小説版を読んで、雑誌でたまたま見かけて――そういった形でefという作品を知り、『ef - the latter tale.』の購入を決定したものの、ゲーム版の前作にあたる『ef - the first tale.』をやっていない、もしくは時間がなくてプレイまで手が回らなかった方のために、ある程度の要点を抑え、発売に備えることができるよう意図しました。 もちろん、私自身 latter tale の発売を控え、この作品を整理し直すためでもあります。 性質上、多大なネタバレを含むため、未プレイで、そういったものを避けたい方はご注意ください。 それでは、さっそく。 ◆『ef - a fairy tale of the two.』のはじまり 物語は、夕と優子が、クリスマスに教会で出会うところから始まります。ここで見ておきたいところは以下の二つ。 ・優子が、音羽の教会で夕をずっと待っていたこと。 ・以前に、二人が共にあったこと。 #前者 『first tale』の中で繰り返し語られるのは、優子が誰かを待っているということ。 そして、自分が誰を待っているのかは記憶にないこと。 この時点で夕に会うまで、待ち人であるはずの夕のことを、その名前さえ忘れていました。 #後者 回想で、音羽学園に二人が通っていたことが語られます。 この辺はちょっと複雑なので、二人の時間軸を整理してみます。 (一度会ったことがあるらしい) ↓ ある夏の音羽学園での再会 ↓ 冬の同棲時代 ↓ あるクリスマスの朝 ↓ (数年後) ↓ 本編最初の再会 回想のシーンで、まず語られているのは二番目の、二人が学生の頃、夏の音羽学園での再会です。 ここでは、夏にもかかわらず長袖を着ている優子が、 「昔、ちょっとね」 と言っていることから、この再会より前に何かがあり、そのことが原因で身体に傷痕が残ってしまったことが伺えます。 しかも、この時点で夕が、 「雨宮優子という少女が、古い記憶のどこかに存在していた」 としていることから、 この夏の再会の前に、時間軸最初の(一度会ったことがあるらしい)が導き出せます。(何かの比喩かもしれませんが) また、この回想に続く冬の同棲時代では、ちょっとムラッと来た夕に、優子が「今はダメ」というところがあります。 なんでダメなんでしょうか。危険日?(何を言い出すのか) 回想を終え、冒頭の教会の再会シーンに戻ります。 そこで、 「何年か前のクリスマスの朝に、この教会で会おうと約束したが、その約束が果たされなかった」 と語られます。二人が離れてしまったのは、この数年前のクリスマスの日なのでしょう。 ここでは、 「古い絆で結ばれていた二人が、ようやく再会できたところから、物語が始まる」 ということを抑えておけばいいと思います。 そして始まる物語というのは、いつからか教会で夕を待っていた優子が、音羽の町で出会い、別れていった少年少女たちのこと。 その一つ目の物語は、二人が再会する丁度一年前のクリスマスの日、一人の少年が教会を訪れるところから始まります。 【『ef - the first tale.』のあらすじ】 ◆第一章 宮村みやこ 「I'm here now」 大まかな流れとしては、紘とみやこがお互いを大事な存在として認め合っていく、というお話です。 #広野紘 漫画家になる、という夢を叶えながらも、学生業との両立はあまりに難しかった。 しかし、その辛い現状でも、 「夢を叶えた人間には責任がある。夢を見ていた頃の自分に対して」 という言葉から読み取れるように、その現状に立ち向かっていく強さがあります。 #宮村みやこ 仲の悪い両親の間で、両親の顔色をうかがいながら育ったみやこは、息の詰まる幼少時代の反発か、自由を第一に生きようとしています。 ただ、自由の中で、何がしたいのか見つけられない。つかんだ一人という立場は楽だったけど、それは孤独と表裏一体でした。 そして、自分とかかわる人には、自分を大事にしてもらわないと不安でしょうがないとみやこは言います。 これも幼い頃の経験から、放っておかれることの寂しさに耐えられないのだと思います。 つまり第一章とは、みやこが紘を「自分を大事にしてくれる人なのか」と見定める話だったともいえます。おんなのこってこわい! 責任という言葉に縛り付けられそうになりながらも、前に進もうとし続ける紘。 自由という言葉の元、羽ばたこうとしても、進むべき道がわからず動けないみやこ。 一見対照的な二人ですが、だからこそ、お互いにないものを持つ相手に惹かれあっていきます。 さて、ここで困ったのが、幼い頃から紘を兄と慕い、一番近いところにいた新藤景。 突然現れたハイスペック超人(バスト88)に紘を取られそうになり、三角関係が出来上がることに。ボクもはさまれたい!(どれにですか) #新藤景 アニメの感想では、見ていられない感じの行動に対し、その名前「しんどうけい」から「死んどけー」などと言われる始末。 ですが、物語をたどっていくと、景は紘に大きな影響を与えてきたことが分かります。 先ほど触れた、紘にある「強さ」がどこから生まれてきたのかということは、二人が体育館で話すシーンから窺い知ることができます。 ・血は繋がってなくても、お兄ちゃんって呼んでくれる子の前では格好つけたかった ・そんな景がいてくれたから、今の紘がある。 そして、第一章の中で、景がみやこから影響を受けていったことも読み取れます。 景は紘を諦めようとする中で、自分が紘に対してどのように接していたかを思い返します。 それを「憧れだったのかもしれない」とするところは、自分を納得させようとしているのが見ていて辛いほどです。 でも、景は何もしませんでした。行動を起こすことで起こる変化を恐れ、臆病になってしまった。 ひょっとすると、紘と景が共に歩む、そういう未来もあったのかもしれません。 しかし、紘はみやこと出会ってしまいました。運命の女の子といえば大げさかもしれませんが、そういう女の子に。 そして、積極的に動くみやこという存在が、景を動かすことにもなりました。煽った形と言ってしまうとアレげなものの、勇気を出すきっかけとなったのは、紛れもなくみやこです。 結果、景は紘の、本当の妹になりました。それは妥協で、優しくて残酷な約束だったのかもしれません。 長くなりましたが、押さえておくべき点は、物語を終えての二人の変化についてでしょう。 #広野紘 漫画家としても、学校も、女の子のことも、全てをやろうとして、結果として全てを中途半端にしてしまったことを理解する。 学校を辞め、みやこを一番大事にすることを決め、歩き始める。 #宮村みやこ 探して、見つけたのが、紘の隣という場所。 やりたいことはまだ見つからないものの、「紘の隣にいる」という生き方を確かにした。 ――何かを得るには、何かを失わなくてはいけない―― ――約束をしよう。それは縛るものでなく、信じ合っているから交わされるもの―― モノローグにも書かれるこの二つが、第一章の根底にあるテーマだったように思えます。 ◆第二章 新藤景 「The flower bloom in the night sky.」 季節は夏になり、優子の語る物語は第二章に移ります。第二章の主軸となるのは、この二人。 #新藤景 紘という大事なものをなくしたことで、強い気持ちをもなくしてしまった。 バスケの試合で負った膝の怪我は完治したものの、そこから立ち直ることができず、バスケ部も辞め、ダラダラと毎日を過ごす。 この時点で景は、今まで打ち込んでいたバスケを失い、その反動で何もしていない今を一層辛く感じていますが、動けません。 景は、自分をこの辛い場所から連れて行ってくれる誰かを待っています。 #堤京介 「俺は俺の撮りたいものを撮る」という夢を持つ京介は、方向性のあわない映研を辞め、景を主役にした映画を撮ることに決めます。 上記のような状態にある景にとっては、その強さがさぞや眩しく映ったことでしょう。 第二章の冒頭で京介はコートにたたずむ景に強く魅せられたことが、「彼女を撮りたい」と思った主因となっていますが、実のところ、すべてをなくした抜け殻だから、何かが生まれそうな気配を感じ取ったということが語られています。 物語は主に、景が京介から力を吸い取っていくかのように、みなぎっていく景、迷いの生まれていく京介を対比させながら描かれます。 これを言い換えると、現実を見始めようとする景と、映画が虚構であることに気付いていく京介、ともなります。虚構、二次元、貧乳。平べったいことの何が悪いというのか。(黙っててください) 景は、撮影される、というやることを見つけ、京介とかかわる中で、少しずつ元気を取り戻していきます。 逆に京介は、夢といいながらも、映画監督になりたいわけでもなく、それが趣味でしかないことを観測し、また受験勉強という重りが京介を動けなくしていきます。 二人はままならねーですこんちくしょう、となりつつも、互いに元気を与え合ったり、周りが背中を押したりしながら、物語は進んでいきます。 景は、何度も優子に力を与えられます。中でも、優子の 「甘えてるんじゃないわよ、お嬢ちゃん」 はトラウマもの。ハァハァ。(ここに変態がいます) 京介は、母の最期の言葉がチラつく「夢」を大事にしたいと願いながらも、それ以外の自分の中で存在(=景)が大きくなっていくことに困惑しますが、「人は変わる」ということを、誰よりも実感しているみやこが、それでいいと諭します。 ……ちなみに、ここではみやこの申し出から、三人での試験勉強が始まります。このことも二人でいる時間を増やすことになるのですが、この時に、みやこから景へ、紘についてのある思いが語られます。この部分は本筋とかかわるところでないし、触れることはしませんが、是非本編で確認してほしいと思います。こういう前後のあるシーン、大好きです。 さて、第一章と同じく、第二章の主人公の二人の、何が変わったのかを見ることで、ポイントを押さえたいと思います。 景の弱さとは、一人でいられなかったこと。 生まれた時から、景の隣には千尋がいました。そして、紘という存在も現れました。 しかし、千尋はいなくなってしまい、するとミズキをその代わりにしようとしました。 景は常に誰かに依存し続けたのです。だから、紘がいなくなった時、京介を必要としました。 そんな景を、それでいい、と京介は受け入れます。 景にとって、一緒にいてほしい人が誰でもいいわけではなかった。 そして景は、京介を選んでくれたのだから。京介自身も、景を支えたいと思ったから、それを受け入れたのです。 京介は、悲しみを受け止める強さを持つ景に焦がれました。 景は、悲しみから目を逸らしながらも、前を向き、進み続ける強さを持った京介に惹かれました。 景の中で、紘の存在は長く、大きくあり続けるのでしょう。それでもいいと、京介は受け入れます。 京介、マジかっこいい。最近、イケメソは心もイケメソなのだと思い知らされっぱなしですが、まさかゲームの世界でまで同じことをされるとは。悔しい……!(ビクッビクッ ◆『ef - the first tale.』のおわりと伏線 二つの物語を語り終えて、舞台は夕と優子、二人の教会へと移ります。 語り終えた優子は、今こうして自分と出会うまでに、夕が何をしてきたかを話してほしいと言います。 夕は、それは二人のことにも関係する話で、その前に、二人を引き合わせてくれた『あの子』――新藤千尋の話をしなくてはいけない、と返します。 そして、夕は語り出します。『latter tale』を。 と、ここまでが、『ef - the first tale.』の大まかなストーリーとなります。 ですが、改めて申し添えておきますと、この記事はあくまでも大まかな要点を抑えたものに過ぎません。というか、私程度の解釈力(造語)による説明では、どんな作品でも魅力が7割減くらいでしか伝わらないと思います。 後日また触れますが、efという作品の魅力は、そのストーリーだけにあるわけではありません。……シ、シナリオが悪いって言ってるんじゃないんだからね! 何にせよ、よろしければ、『ef - the latter tale.』をクリアした後に、『ef - the first tale.』をもう一度やってみることで、見えてくるものがたくさんあると思うのです。 それを踏まえて、まぁ、ダラッとこの記事を読んでいただくことで、ご購入を検討される方が増えれば、efという作品の一ファンとして、これに勝る幸いはありません。 ほんでもってとにかく、これをきっかけに、たくさんの人とefのことを話したいお! それだけが……私の、望みです。(死亡フラグ) この記事に関して、ご意見、誤字脱字、その他修正、ツッコミ、感想、いよいよ発売ですね! などありましたら、メールフォームからのメール、お待ちしております。 以下、伏線というか、個人的に気になっているっぽいもののまとめ。 ・音羽の震災は、20年近く前に起こっている。 →作中の人物達の年齢を考えると、うーん。 ・優子には、大事な人がいた。失ってはいけないのに、なくした人が。 生きてるから変わる。優子「そうですね。生きてるんですからね……」 夕が死んでたりして。 ・広野姉がキーパーソン? 鍵あたりの連想から。紘の姉が帰ってくる。ここでは仕事のキツくなってきた紘のヘルプに見せてるけど、夕、優子へのピースになるんじゃないかなー。 ・夕が、「新藤景という名に覚えは?」と優子に尋ねるシーン。 どうやら、広野姉が二人の同級生っぽく見せつつ、景にも何かありそう。 優子「二人とも、昔の私と何か関係が……?」 ・音羽の外れの廃墟群にて 優子「ここにあるのは、もう終わってしまった過去の残骸だけです」 優子「ここは、懐かしい場所ですから」 京介は「優子は美形すぎてカメラ映えしなそう」と言うけど、写らないからかな。 景にも優子は覚えがあるぽい。 優子「この街での仕事は、それほど長く続かない気がします」 優子「ただ、この街の人たちに――優しくしたいんですよ」 ・教会で待つのは、逢いたい人がいるから。 教会で会えるという予感もあるらしい。 記憶は曖昧で大切なものだけど、今の優子にとって絶対的なものではない。 過去の出来事を忘却しても、想いまで消えたわけではない。 →忘れたくない想い、ありますか? この想いがあるから、優子はここにいる。 ・京介が優子を評して 「あんたって、俺たちに関わってるようで関わってないような変な感じがする」 「役者に方向付けはするし、相談にも応えるけど、カメラの前に立つことはない――脇役ですらない」 ・ミズキが景に懐く理由 作中にははっきりした解答が一つあるけど、それだけでもないような。 ・ミズキの物言いが、優子に似ているとか 「景を不幸にはしないよ」という京介にミズキが一変。「寂しい顔は見たくないから」と。 景の寂しさを埋められるのか、と問う姿は、まるで優子のようだという。 ・夜走る景に、優子が会う 優子は景が「昔からトゲトゲしていた」という。昔ってなんだよ昔って。 その笑う笑顔が、ミズキに似ている。 ・優子の真相に迫るみやこ 「そっか、やっぱりみんな忘れてるんだね」 「この街に住んでる人なら、一度は優子の名前を聞いたことがあると思うけどなぁ」 「とか言ってるあたしも、紘くんとこで資料を読むまではすっかり忘れてたけどね」 →後に、景がみやこの話を聞いて、紘のスクラップを見た時のモノローグ。 確かに……真に受けられない話だ。 こんなのは、どこかに間違いがあるんだと思う。 ・優子とミズキ 教会で、恋をしたことがあるのか、と景は優子に問う。 優子「一度だけ。最初で最後。私の恋はね、永遠なんですよ……」 そこに飛び込んでくるミズキ。驚く景が、ここを知っていたのかと問うと、ミズキは口ごもる。 振り返ると、優子はいない。 四人での旅行の前。すれ違う優子とミズキ。お互いを認識することはない。 ミズキは振り返り、どうしたの、と問われ、「ちょっと懐かしい匂いがしたような気がして……」という。 ・進路志望の二回目を書く時に、みやこが優子に聞いたことはなんぞや その後にみやこが紘の家の前で待ち伏せとかしてる。 みやこ「優子、どうすればいい?」優子「待ち伏せ、強襲ですね」とかいう会話があったわけでもないだろうけど。 ◆ここまで読んでくださった方のために、最後に捨て台詞を一つ。first と latter、重要なつながりはただひとつです。 第二章で、景はチャイナ服を買いました。そこで言うのです。このチャイナ服は、千尋に贈ると。つまり、latter tale では、 チャイナ服の千尋を見ることができる……? このあまりに重要な伏線。チャイナ服がこの壮大な物語を、一つに繋ぐ――!(ナンダッテー
by sakuragi_takashi
| 2008-05-28 22:49
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